半年前までの私の部屋は、ひどいものでした。床には脱ぎ捨てた服が地層のように重なり、コンビニの袋やペットボトルが転がっている。友達から「今度遊びに行っていい?」と聞かれるたびに、冷や汗をかきながら適当な理由をつけて断る。そんな自分が嫌で、何度も片付けようと決意はするものの、目の前の惨状に圧倒されて手につかない。そんな私が、今では人を呼べるくらいきれいな部屋を維持できるようになったのです。きっかけは、本当に些細なことでした。それは、朝起きたら必ずベッドの上だけを整える、というルールを自分に課したことです。最初は「こんなことをして何になるんだ」と半信半疑でした。しかし、どんなに他の場所が汚くても、ベッドだけはホテルのように整っている。その一角だけが、部屋の中で唯一秩序のある空間になりました。すると不思議なことに、その整ったベッドの周りから、少しずつ片付けたくなってきたのです。ベッドの隣に置いてあった漫画を本棚に戻してみる。床に落ちていた服を一着だけハンガーにかける。本当に小さな一歩でしたが、昨日より少しだけきれいになったという事実が、私に小さな達成感を与えてくれました。汚部屋の何が問題かというと、全てが混沌としていて、どこから手をつけていいか分からない絶望感です。しかし、ベッドの上という小さな聖域を作ったことで、私の心の中に「ここから始めればいい」という小さな拠り所ができたのです。汚部屋の掃除は、部屋全体を一度に変えようとするから失敗します。たった一つでいい。必ず毎日続けられる小さな習慣を作ること。それが、泥沼のような汚部屋から抜け出すための、最も確実で力強い第一歩だったと、今ならはっきりと分かります。