汚い部屋を前にして、まず何から手をつければいいのか分からない。その絶望的な気持ちこそが、片付けを阻む最大の敵です。そんな時におすすめしたいのが、「十五分タイマー作戦」です。これは、タイマーを十五分にセットし、その間だけ無心で片付けをするという、非常にシンプルな方法です。ポイントは、タイマーが鳴ったら、どんなに中途半端でも必ず作業をやめること。この方法には、汚部屋の掃除に挫折しがちな人の心を動かす、いくつかの心理的なメリットがあります。まず、「終わりが見える」という安心感です。汚部屋の掃除は、果てしない作業のように感じられますが、十五分という短い時間なら、「それくらいなら頑張れるかも」という気持ちになれます。始めるための心理的なハードルを、ぐっと下げてくれるのです。次に、時間を区切ることで、驚くほど集中力が高まります。だらだらと一時間作業するよりも、集中した十五分の方が、意外と多くのことを片付けられます。「この引き出しの中だけ」「テーブルの上だけ」というように、小さなエリアに絞って取り組むと、より効果的です。そして、タイマーが鳴って作業をやめた時、「もう少しやりたかったな」という気持ちが芽生えれば大成功です。この「物足りなさ」が、次の片付けへの意欲に繋がります。この十五分間の片付けを、一日に一回でも、あるいは朝と夜の二回でも、生活の中に組み込んでみてください。毎日続ければ、一週間で百五分、一ヶ月では約七時間も掃除したことになります。塵も積もれば山となる、ということわざを実感できるはずです。汚い部屋からの脱出は、壮大な計画からではなく、たった十五分の小さな一歩から始まるのです。